深すぎる、はんこの世界一級技能士が彫る老舗のはんこ屋【大賀堂印房】

窓から入る日差しが優しい。はんこが並ぶショーケースを眺めていると胸が高鳴る。

現在店主を務める大賀さんは「大賀堂印房」の4代目。

「創業は、大正か明治末期。僕のひいおじいさんがやっていたというのは記録として残っています。最初は馬車道のほうにお店があったんですけど、戦争でなくなってからみんなこっちに。だから正直2代目くらいの感じなんですよね」

務めていたレコード屋の閉店をきっかけに30歳手前で店を継ぐことを決意。それから横浜にあった全国で唯一のはんこの学校「神奈川県印章高等職業訓練校」に2年間通い、さらに高度な勉強をおこなう研究会で技術を学び続け、一級技能士の資格を獲得。他のはんこ屋で修行を積んだのち、2008年にここ初音町に戻ってきたのだといいます。

「はんこって、彫ってつくるものづくり。ものづくりって技術が必要ですよね。どうせやるなら技術的にちゃんと評価されるような職人になりたいという思いがあって、そのひとつとして競技会などにチャレンジして、そこから」

平成25年には全国技能グランプリで第1位にあたる厚生労働大臣賞を受賞。3年後の平成28年におこなわれた全国印章技術大競技会では、細かい絵と文字を彫る密刻部門でも厚生労働大臣賞を受賞しました。

しかし機械でもはんこを彫れるようになったいま、腕を競うひとは少なくなってきているのだとか。現代の ”いいはんこ” とはどのようなものなのでしょう。

「普段僕らも仕事では機械を使って彫るんですよ」


「以前は店主、師匠が字を書いて、弟子が字の周りを彫る。彫ったものを師匠が仕上げるという工程でした。その弟子が彫っていたのを機械にやらせる。機械で彫ったものをさらに印刀を使って完成させるというのが手彫りをしていた人の現代的なやり方かも。手で掘る技術を知っているひとだと、どういうものが良いか分かるんです」

機械の良さを活かしてうまく取り入れながら、最後には技術を施して ”完成” させる。

「結婚するから実印とか、成人したから親が子どもにプレゼントとか、そういう方が多いです。はんこって基本オーダーメイドなので、楽しんで注文してほしいなと思います。彫る人によって同じ名前でも違ってくる、彫り手に個性があるので」

オーダーできるはんこは、実印、役職印、銀行印、認印、蔵書印、自作の書画などでよく見られる落款印などさまざま。

実印でよく見られるのは篆書体。文字の合わせ方に、腕が試されるのだといいます。

「はんこって、彫り方云々より捺した印影がどうなっているかが一番重要なんです。なので、美しくバランスのとれた印になるよう、印面に文字をどのように収めるか。はんこはいろんな人に見られる名前を写すものなので」

自分の名前が持つ意味、漢字の成り立ちを知ることも楽しさのひとつ。オーダーメイドならではのコミュニケーションがあります。

テレワークの普及などに伴い、はんこ不要が検討されることも増えてきた現在。しかしまだまだ人生の節目や大事な場面で必要になるはんこ。せっかくなら、オリジナルの ”いいはんこ” を長く使い続けていきたい。

これまでの作品は、「大賀堂印房」ホームページから。みなさんも是非、技術のあるお店で自分だけのはんこをつくってみてください。

大賀堂印房
〒231-0053 横浜市中区初音町3-44
営業時間 9:00〜18:30(土曜日18:00)
定休日:火曜日・水曜日・不定休あり
TEL  045-231-8314
WEB taigadoinbo.com





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